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2025.10.31 FRI
第16回
COLUMN
第16回 訪問看護と訪問診療の連携を強化するには?

第16回

訪問看護と訪問診療の連携を強化するには?

スムーズな連携で患者のケアを最適化する方法

2025.10.31 FRI

訪問看護と訪問診療、それぞれの役割とは?

在宅医療の現場では、訪問診療と訪問看護が連携することで、患者により質の高い医療を提供 することができます。しかし、両者の役割が明確でないと、情報共有がうまくいかず、ケアの質が低下する可能性があります。

それぞれの基本的な役割を整理してみましょう。

訪問診療の役割

  • 医師が患者の自宅を訪問し、診察・治療・薬の処方を行う
  • 病状の管理や必要に応じた医療処置を提供
  • 診療報酬の請求や診療計画の策定

訪問看護の役割

  • 看護師が患者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいた看護ケアを提供
  • 点滴・服薬管理・褥瘡(じょくそう)ケアなどの日常的なケア
  • 患者・家族の生活支援や健康相談

訪問診療が 「医療の判断と治療」 を担うのに対し、訪問看護は「日々のケアと健康管理」 を支える役割を持っています。

連携がうまくいかない原因とは?

訪問診療と訪問看護がスムーズに連携できていないケースでは、以下のような問題が発生しやすいです。

情報共有が不十分

  • 医師が最新の病状を把握できず、適切な診療ができない
  • 看護師が診療の意図を理解できず、適切なケアを提供できない

指示の曖昧さ

  • 指示が口頭のみで、記録が残らない
  • 看護師の判断に任せる範囲が不明確

緊急対応の連携不足

  • 患者の急変時に医師へすぐに連絡が取れない
  • 救急対応の際、情報が混乱する

連携を強化するための5つのポイント

① 訪問診療と訪問看護の情報共有を徹底する

情報共有の方法を標準化し、共有しやすい仕組みを整えることが重要です。

例えば…

  • 電子カルテやクラウドツールを活用し、リアルタイムで情報共有
  • 訪問看護師が診療の経過を簡潔にまとめ、医師と共有
  • 週1回のミーティングで、診療方針を確認

② 医師の指示を明確にする

訪問看護師が迷わず対応できるよう、具体的な指示を出すことが大切です。

  • 指示書を必ず文書化する(訪問看護指示書の活用)
  • 「判断が必要な場合の基準」を明確にし、医師が不在時も適切な対応ができるようにする

③ 緊急時の対応フローを作る

患者の急変時に備え、訪問看護と訪問診療がスムーズに対応できる仕組みを作ることが重要です。

  • 夜間・休日の緊急連絡体制を明確にする
  • 救急対応のフローを文書化し、スタッフ全員が把握する

④ クリニックと訪問看護ステーションの関係を強化する

訪問診療と訪問看護は、同じ患者を支えるチームです。定期的な連携ミーティングを実施し、関係を強化しましょう。

  • 定期的にケースカンファレンスを実施し、患者の方針を確認
  • 訪問看護師向けに、診療方針や医療的な知識を共有する勉強会を開催

⑤ ITツールを活用し、業務の効率化を図る

訪問診療と訪問看護の連携には、デジタルツールの活用が欠かせません。

  • 電子カルテの共有化
  • 訪問スケジュール管理ツール(例:「Googleカレンダー」など)
  • RPAの活用で、訪問看護指示書の管理や請求業務を効率化(例:「モレナク」)

まとめ:訪問診療と訪問看護の連携が、患者のQOLを左右する

訪問診療と訪問看護がうまく連携できれば、患者にとって最適な医療が提供できます。そのためには、以下のポイントを意識することが重要です。

  • 情報共有を徹底し、電子カルテやフォーマットを活用する
  • 医師の指示を明確化し、訪問看護師が迷わず動ける環境を作る
  • 緊急時の対応フローを整備し、素早く適切な対応ができるようにする
  • 定期的なカンファレンスを実施し、連携を深める
  • ITツールを活用し、業務負担を軽減する

これらを実践することで、患者・家族にとってより良い在宅医療を実現することができる のです。

次回は、「訪問診療のドクターが抱える悩みと、その解決策」について解説します!

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