第14回
訪問診療の監査はこう対応する!
院内のチェックポイント
2025.10.31 FRI
訪問診療における監査とは?
訪問診療を行うクリニックにとって、監査対応は避けて通れない重要な課題です。監査とは、医療機関が診療報酬を適正に請求しているか、患者の診療記録が適切に管理されているかを確認する制度です。
特に、訪問診療は診療報酬の加算が複雑であり、算定ミスや請求漏れが発生しやすいため、監査の対象になりやすい分野とされています。
- 訪問診療の加算要件が細かく、ミスが発生しやすい
- 不適切な請求があると、返還請求やペナルティの対象になる
- 監査対応のための準備を怠ると、業務負担が大幅に増加する
監査に適切に対応するためには、事前にしっかりと準備を行い、院内の業務フローを最適化することが重要です。
本記事では、訪問診療クリニックが監査に備えるためのチェックポイントと、具体的な対策について解説します。
訪問診療の監査でチェックされるポイント
監査では、以下のような項目が重点的にチェックされます。
監査対策を行う際は、これらの項目を事前に確認し、問題がないかをチェックすることが重要です。
① 診療報酬の算定基準を守っているか?
- 訪問診療の回数や頻度が適正か?
- 加算の適用条件を満たしているか?
- 同一患者に対して、他の医療機関との重複請求がないか?
例:よくある指摘事項
- 「訪問診療の初回加算」が適用されるのは、月1回のみなのに、2回算定していた
- 同じ患者に対して、訪問看護と訪問診療の加算を二重に請求していた
解決策::
- 診療報酬の最新ルールを常に確認し、院内で算定基準の勉強会を実施する
- RPAを活用し、算定ミスを自動チェックするシステムを導入
② 診療記録が適切に管理されているか?
- 診療の目的・内容が明確に記録されているか?
- 訪問診療の理由が適切に記載されているか?
- 診療報酬の請求内容と診療記録が一致しているか?
例:よくある指摘事項
- 「訪問診療の必要性」が診療記録に記載されておらず、監査で指摘された
- 加算の請求をしているのに、診療記録にその記載がなく、不適切請求と判断された
解決策:
- 診療のたびに、訪問理由や加算の適用条件を明確に記録する
- 電子カルテを活用し、診療記録とレセプトデータを連携させる
③ 監査に必要なエビデンスが揃っているか?
- 診療記録、訪問スケジュール、請求データが整合しているか?
- 過去の監査対応時の記録が保存されているか?
- 診療報酬の変更点に対応できる体制が整っているか?
例:よくある指摘事項
- 訪問診療を行った証拠(訪問ルートや患者の診療記録)が不十分だった
- 監査の際に必要な書類を提出できず、不適切請求と判断された
解決策:
- 診療記録と訪問スケジュールを紐づけ、エビデンスをしっかり管理する
- 監査時に求められる書類をリスト化し、すぐに提出できるように準備する
訪問診療クリニックの監査対策:具体的な実践方法
監査に適切に対応するためには、日頃から監査を意識した業務フローを構築することが重要です。
以下に、具体的な監査対策の実践方法を紹介します。
① 監査対応マニュアルを作成し、院内で共有する
- 過去の監査対応事例をまとめ、注意点を明確にする
- 診療記録の記載ルールを決め、スタッフ全員で統一する
- 監査時に提出すべき書類のリストを作成する
具体的なアクションプラン
- 監査のチェックリストを作成し、月1回チェックを実施
- 医療事務スタッフ向けに、監査対応の研修を定期的に実施
② レセプト業務をRPAで自動化し、請求ミスを防ぐ
- 診療報酬の算定ミスを未然に防ぐシステムを導入
- 加算の適用条件を自動でチェックし、適切な請求を行う
- 監査対応のデータ整理を自動化し、エビデンスを確保
RPA導入のメリット
- レセプト請求のミスを削減し、返戻を防ぐ
- 監査時のデータ整理がスムーズになり、対応時間を短縮
監査の負担を軽減しながら、請求ミスを防ぐことが可能!
③ 監査に備えて定期的に内部チェックを行う
- 月1回、監査を想定したチェックを実施
- 診療記録・レセプト請求・訪問スケジュールが一致しているか確認
- 監査対応の流れを事前にシミュレーションする
具体的なアクションプラン
- 内部監査チームを作り、定期的に自己点検を行う
- 外部の医療コンサルタントに依頼し、監査対策を強化する
まとめ:監査に備えて万全の体制を整えよう!
訪問診療の監査に適切に対応するためには、日頃から監査を意識した業務フローを構築することが重要です。
- 診療報酬の算定ルールを理解し、正しく請求する
- 診療記録を適切に管理し、エビデンスを確保する
- 監査に必要な書類をリスト化し、すぐに提出できる体制を整える
- RPAを活用し、レセプト業務を自動化して請求ミスを削減する
- 定期的な内部チェックを行い、監査対応力を強化する
監査をスムーズに乗り越えるために、今からしっかり準備を進めておくことが大切です!
次回は「訪問診療の加算算定、抜け漏れを防ぐには?」について詳しく解説します!
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