
第1回
訪問診療の未来予測
5年後、10年後の在宅医療はどう変わる?
2025.05.23 FRI
訪問診療の重要性が増す未来へ
日本の高齢化は加速しており、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に突入します。その影響で、医療の中心は「病院」から「在宅」へとシフトしていくことが予測されています。
さらに、2030年には日本の人口の約30%が65歳以上となり、在宅医療の需要は今以上に高まるでしょう。こうした社会の変化に対応するため、訪問診療クリニックはどのような未来を見据え、準備を進めるべきなのでしょうか?
本記事では、5年後、10年後の訪問診療の姿を予測し、クリニックが今からできる対策について解説します。
5年後の訪問診療の変化(2029年)
① 在宅医療の需要がピークに
2025年問題を迎え、在宅診療の需要は加速します。特に、都市部では訪問診療クリニックの競争が激化し、差別化が重要になります。
- 患者数の増加 → 診療時間の最適化が求められる
- 在宅医療と介護の連携が必須に → 医療・介護一体型の仕組みが拡大
訪問診療の「提供できるサービスの幅」が重要な競争ポイントとなるでしょう。
② ICT・RPAの導入が標準化
5年後には、診療業務の一部が自動化・効率化されているのが当たり前の時代になっています。
- レセプト請求の自動化(RPA導入)
- オンライン診療の拡充(遠隔モニタリングの活用)
- 音声入力による診療記録の作成(医療AIの進化)
現在の訪問診療では、レセプト業務や監査対応に大きな時間が取られていますが、AIやRPAの導入により、事務負担は今よりも大幅に軽減されているでしょう。
③ 診療報酬改定への適応が必要に
2026年の診療報酬改定を経て、訪問診療の報酬体系にも変化があることが予測されます。
例えば、
- オンライン診療に対する評価の拡充
- 在宅医療の包括的な報酬モデルの導入
- 訪問診療と訪問看護の連携強化
こうした制度変更にスムーズに対応できるクリニックが、5年後も生き残る鍵を握るでしょう。

10年後の訪問診療の未来(2034年)
① 在宅医療の「標準化」
10年後の2034年には、訪問診療が特別なものではなく、標準的な医療提供モデルになっている可能性があります。
- 訪問診療を希望する患者が増え、病院の入院需要が減少
- 病院・診療所・訪問診療の役割分担が明確化
- 慢性疾患や終末期医療の中心が在宅へシフト
この変化に対応するためには、訪問診療クリニックが地域医療の中心的な役割を担う体制を構築する必要があります。
② AI診断・データ活用の進化
2030年代には、AIによる診断支援が一般的になり、医師の診療を補助する役割が強化されているでしょう。
- AIが診療データを解析し、最適な治療方針を提案
- 遠隔モニタリング技術の進化により、24時間の健康管理が可能に
- 患者データの共有が進み、医療機関間の連携がよりスムーズに
これにより、訪問診療の効率が飛躍的に向上し、より多くの患者に対応できるようになるはずです。
③ クリニック経営の在り方が変わる
10年後には、クリニックの経営モデル自体が変化している可能性があります。
- 診療報酬モデルが「成果報酬型」へ移行
- 個人開業よりも、医療法人・グループ経営が主流に
- 診療業務の分業化が進み、医師以外の役割が拡大
医療法人や企業が訪問診療に参入し、より大規模な訪問診療ネットワークが形成される可能性もあります。
訪問診療クリニックが今から準備すべきこと
① ICT・RPAの導入を進める
まず、業務効率化のためにRPAやAIを活用し、業務のデジタル化を進めることが重要です。
- レセプト業務の自動化
- 監査対策の効率化
- 電子カルテ・オンライン診療の活用
② 地域連携を強化する
在宅医療が拡大する中で、病院・訪問看護・ケアマネジャーとの連携が不可欠になります。
- 医療・介護のネットワーク構築
- 患者のトータルケア体制を整える
③ 経営基盤を強化する
長期的な視点でクリニックを安定させるために、経営戦略を見直し、持続可能な運営モデルを構築することが重要です。
- 診療報酬の動向を把握し、対策を練る
- 経営リスクを分散するために、新たな収益モデルを検討
まとめ:訪問診療の未来に向けて
訪問診療は、今後10年間で大きく変化する医療分野です。
- 5年後(2029年):在宅医療の需要がピークに、ICT・RPA導入が必須
- 10年後(2034年):AI診断・遠隔医療が標準化、診療報酬モデルが変化
この変化に対応し、持続可能な訪問診療クリニックを経営するためには、今から準備を始めることが不可欠です。
次回は「RPA導入で変わる訪問診療の現場」について解説します!
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